みなさんこんにちは。笠です。
SNSで「移住で96万円もらえる」という投稿を見かけて、最近の地方移住支援はどこも手厚いなと思いつつ、「移住するだけで」というハードルの低さが気になりました。
普通の移住支援って、「起業したら」「農業始めたら」「子育て世帯なら」みたいな条件が複雑だったりするんですよね。
しかもこの町、2025年1月に「住みたい田舎ベストランキング」で2年連続1位になっているという情報も見つけて、「これは実際にどんな仕組みになっているのか見に行ってみよう」と思い、現地に足を運んでみました。
その町とは
ー 福島県 浪江町 ー
調べてみると、浪江町独特の面白い制度設計になっていることが分かったんです。
他とは違う!浪江町の移住支援の仕組み
浪江町の移住支援制度で特に注目すべきは、家賃補助の手厚さです。
子育て世帯の場合
- 家賃の1/2を補助(月最大3万円)
- 期間制限なし(!)
一般移住者の場合
- 37,000円を超える家賃分を補助(月最大4万円、2年間)
つまり、子育て世帯なら家賃6万円のアパートに月3万円で住み続けられ、一般の方でも家賃7万円のアパートに月3万7千円で2年間住めるということです。
これだけで年間36万円〜48万円の支援。2年間なら72万円〜96万円になります。
その他の支援制度(参考)
注目すべきは、これらの制度が**「移住するだけ」**で利用できる点。起業や特定の職業に就く必要がないんです。
なぜこんなに手厚いのか?その驚きの理由
2025年1月、雑誌「田舎暮らしの本」で『住みたい田舎ベストランキング(人口5,000人未満の町)』2年連続1位に輝いている町があります。
それが福島県浪江町です。
「なんでそんなにお金をかけるの?」
その答えは、町の切実で野心的な目標にありました。
2035年までに人口8,000人という本気の挑戦
現在の浪江町の人口は約5,000人。町は2035年までに8,000人を目指しています。
そして驚くべきことに、現在、町の人口の約36%が移住者なんです。これは全国的に見ても異例の数字です。
でも、なぜこんなに移住者が集まるのでしょうか?
町の可能性を実感した現地取材
実際に現地を歩いて感じたのは、この町の「可能性」でした。
広大な土地、比較的安価な物価、そして何より「新しいことにチャレンジできる環境」。都市部では実現困難な事業やライフスタイルが、ここでは可能になります。
移住者の多くが「ここでしかできないことがある」と口にするのも納得です。
成功の背景にある町の歩み
実は浪江町は、大きな試練を乗り越えてきた町です。
2011年の東日本大震災で、福島第一原子力発電所事故により全町避難を余儀なくされました。人口約2万人の町が、一夜にして「無人の町」になってしまったんです。
でも、この経験が町を変えました。
隣町との対比が物語る戦略の違い
同じく原発事故の影響を受けた双葉町も訪れました。
2022年に避難指示が解除されたものの、震災前の人口7,000人に対し、現在の居住者は約2,000人程度。住民の帰還意向は11%にとどまっています。
双葉町駅周辺はきれいに整備されていましたが、店舗はなく、移動販売車が食品を販売する静かな光景が広がっていました。
この対比を見ると、浪江町の積極的な移住政策がいかに効果的かがわかります。
「復興」ではなく「新しい挑戦」という発想転換
浪江町の取り組みは、単純な「復興」ではありません。
震災という大きな試練を経て、「どんな町になりたいか」を一から考え直し、そのビジョンに向かって投資している。145万円以上という支援金額は、その本気度の表れなんです。
完全に元に戻すのではなく、持続可能な規模での「新しい町づくり」。これが浪江町の戦略です。
あなたにとってのチャンス
もしあなたが以下のような状況なら、浪江町は検討に値する選択肢かもしれません
最後に:これは単なる補助金の話ではない
145万円以上という金額だけを見ると「お得な移住先」という印象を持つかもしれません。
でも実際に現地を訪れてわかったのは、これは町の「未来への投資」だということ。新しい住民と一緒に、これまでにない町を作り上げようとする意志の表れなんです。
この支援金は、あなたの新しい人生への「投資資金」として町が用意してくれた、貴重な機会なのですから。
取材協力について
今回の取材では、福島県社会福祉協議会での防災備蓄食寄贈式(5000食)にも参加させていただきました。株式会社グリーンデザイン&コンサルティングが災害防止研究所と連携して推進している、防災備蓄用保存食の廃棄削減とこども食堂へのリユース事業の一環です。
このような企業の社会貢献活動が、地域全体の安全安心につながることを実感した取材でもありました。
福島県総合社会福祉センターでの感謝状贈呈式の様子
福島県社会福祉協議会よりいただいた感謝状